3映像制作の舞台裏紹介
~視覚効果編
視覚効果のビフォーアフター
美術セットや小道具で作り上げられた明治の世界。それを強力にアシストするのが、VFXと呼ばれる視覚効果技術だ。たとえば、現存しない明治の建築物や、洋上に浮かぶ当時の巡洋艦。1200人が乗船している輸送船の、モブ(群集)映像。コンピューターの中で作られたそれらのCG映像を、俳優たちが演技をしている映像に合成して、俳優たちが明治時代に生きているかのような画面を完成させる。その作業は、クランクインの1年前から始められたと、VFXを担当する松永孝治CGスーパーバイザーは言う。
「ドラマに登場する艦船の図面を手に入れ、そこからCGを作る作業には何か月もかかります。NHKの中にある〈坂の上の雲〉のためのCGルームとともに、ドイツや韓国のプロダクションの協力も得て、実際に作られるセットと同じような質感を持った映像を作りました。それを実写と連動させるために海外でのロケにもVFXスタッフが同行して、後で行う合成がうまくいくように打ち合わせを重ねながら作業を進めています」
またVFXの役割は「ないもの」を作るだけではない。各地でのロケの際に、明治時代にはないはずの現代物(近代的なビルや標識、鉄塔など)、つまり「あるもの」を消すことも重要な作業だ。そして個々のシーンに合わせた色補整。同じシーンでも建物の外観と内部が別の場所で撮影されている場合、季節も、撮影時間帯も違う収録映像の質感を、明かりの方向性を含めた色調を統一させることで、違和感なく見せることができる(なんと、光源の位置もコントロールできるという)。「坂の上の雲」全カットのうち、実に3割近くがVFX処理の行われた映像。明治をリアルに再現するために不可欠な魔法、それがVFXなのだ。

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巡洋艦「筑紫」の背景に海を合成。また右上の救命艇上の影の形でわかるように、光の方向も変わっている。

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真之が「筑紫」を見る場面。実際に撮影で使われたのは、甲板に人がいる部分のみ。VFX処理後は「筑紫」が出現。

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新橋駅前の雑踏。上海のオープンセットに、新橋駅の駅舎を合成。

洋上の巡洋艦「浪速」。実は地上に作られたセットで、海が合成してある。

CGで制作された巡洋艦「浪速」。
川邨亮GTDと松永孝治CGスーパーバイザーが
考えるVFXの役割
CGを使えばセットだけでは撮れないようなカメラワークも可能になりますので、演出を担当するディレクターの表現に合わせて、さまざまな使い方をしています。とはいえVFXはドラマを生かすための脇役にすぎませんので、あくまでも出演者の演技をじゃましない味付けを心がけました。明治を舞台にした作品なので、現代物が映り込まないようにするなど、撮影現場にはさまざまな制約があります。VFXは、演出ディレクターに制約なく最高のカットを撮ってもらうことも大きな役割と考えています。


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スペシャルドラマ
「坂の上の雲」
鑑賞ガイド
3映像制作の舞台裏紹介
~視覚効果編
スペシャルドラマ
「坂の上の雲」(全13回・各回90分)
第3部(第10回~最終回)
[放送日]
毎週(日)
総合 後7:30~9:00
BSプレミアム 後6:00~7:30
【原作・題字】司馬遼太郎
【脚本】野沢尚ほか
【音楽】久石譲
メインテーマ「Stand Alone」
歌:サラ・ブライトマン
【語り】渡辺謙
【主な出演者(発表順)】本木雅弘、阿部寛、香川照之、菅野美穂、小澤征悦、伊東四朗、竹下景子、松たか子、加藤剛、藤本隆宏、マリーナ・アレクサンドロワ、渡哲也、西田敏行、高橋英樹、的場浩司、堤大二郎、宮内敦士、原田美枝子、佐野史郎、竹中直人、石原さとみ、石坂浩二、柄本明、真野響子、村田雄浩、尾上菊之助、江守徹、米倉斉加年、舘ひろし、佐々木すみ江、片岡鶴太郎、大杉漣、國村隼、榎木孝明、大和田伸也、宝田明、徳井優、草刈正雄、加藤雅也、塚本晋也、緒形幹太、綾田俊樹ほか
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」の字は、パソコンの環境によって表示されない場合がありますので、本文中は「遼」を使用しています。
